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2024.9.6
【獣医師が解説】犬の乳歯遺残とは?原因や健康へのリスク、対処法について|三鷹市深大寺にある「かえで動物病院」

三鷹市、調布市や府中市、小金井市、西東京市、武蔵野市にお住まいの皆様、こんにちは。三鷹市の深大寺にある「かえで動物病院」院長の柳田です。

 

皆様、愛犬の歯並びが気になったことはありますか?

愛犬の歯並びが悪いと感じたとき、本来抜けるはずの乳歯が残っている場合もあります。今回は犬の乳歯遺残について説明いたします。

 

①犬の乳歯遺残(乳歯晩期残存)とは?

犬や猫も、人間と同じように、乳歯から永久歯へと歯が生え変わります。しかし、中には抜けるはずの乳歯が抜けずに残り続け、永久歯と重なって生えることがあります。これを乳歯遺残(乳歯晩期残存)といいます。乳歯遺残は歯並びだけでなく、食べかすが乳歯と永久歯の間に挟まり、歯垢や歯石が溜まることで、歯肉炎や歯周病にもなりやすいと言われています(図)。

図:永久歯の後ろに残存している犬歯の乳歯(黒矢印)と、汚れが付着し歯肉炎により赤く腫れた歯肉(黄矢印)

図:永久歯の後ろに残存している犬歯の乳歯(黒矢印)と、汚れが付着し歯肉炎により赤く腫れた歯肉(黄矢印)

 

②なぜ乳歯遺残が発生するの?乳歯遺残の原因

乳歯遺残が発生する原因は多岐にわたりますが、主な理由として遺伝的要因(犬種特有の骨格など)が挙げられ、チワワやマルチーズ、トイプードルやポメラニアンなどの小型犬種に発生しやすいといわれています。 他にも、栄養不足や発育の遅れも原因として考えられています。

 

③乳歯遺残が及ぼす影響、健康へのリスク

乳歯遺残は、歯並びや噛み合わせを悪化させるだけでなく、食べかすが乳歯と永久歯の間に挟まり、歯垢や歯石が溜まることで、歯肉炎や歯周病になるリスクが増えると言われています。また適切な咀嚼ができなくなることで消化器系にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④初期症状を見逃さないために

乳歯遺残に伴う症状には下記が挙げられます。

・乳歯が予想よりも長く残っている

・永久歯と乳歯が重なって生えている

・口臭が強くなる

・食事をとる際に不快そうな様子を見せる

など

また犬歯は歯の根元が深いため抜けにくく、乳歯遺残が起こりやすいという特徴があります。

乳歯遺残が引き起こす歯肉炎や歯周病、消化器系疾患を防ぐため、初期症状を確認した時は獣医師にご相談ください。

 

⑤乳歯遺残の適切な対処法

乳歯遺残の対処法として最も一般的なのは、獣医師による乳歯の抜歯です。これにより、正常な歯並びと噛み合わせの確保、口内環境の改善を図ることができます。抜歯は犬の健康状態や年齢、乳歯遺残の程度に応じて慎重に行われます。乳歯の生え変わる時期は歯の場所によって異なります。生後6か月前後を目安に、歯の生え変わりが適切か、獣医師の診察をお受け下さい。

 

※抜歯処置について

1:前健康診断ののち、麻酔を行う

2:患部、口全体の写真と歯のレントゲン撮影を行い、歯と周辺組織の状態を確認する

3:すべての歯と歯茎をクリーニングする

4:抜歯の必要がある歯と残せる歯を確認する

5:近くの組織に、抜歯後の穴を塞ぐための蓋(フラップ)を作る

6:歯茎に埋まっている歯根を分離するため削り、付着している靭帯を剥離する

7:歯と歯茎の間をクリーニング、消毒する

8:再度歯のレントゲン撮影を行い、患部を確認する

9:フラップを縫い合わせる(状態により縫合しないケースもあります)

(症状により、上記の処置内容や順序が変更となることがあります。)

 

⑥まとめ

乳歯遺残は、歯並びや噛み合わせを悪化させるだけでなく、食べかすが乳歯と永久歯の間に挟まり、歯垢や歯石が溜まることで、歯肉炎や歯周病になるリスクが増えると言われています。また適切な咀嚼ができなくなることで消化器系にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、歯の生え変わりがある程度進んだ生後6か月ごろを目安に、お口の健康診断をお勧めします。また、ご家庭で乳歯遺残を確認した時は獣医師にご相談ください。

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