破折治療
歯が部分的または完全に割れる状態を「破折」といいます。硬いものを噛んだり、落下・衝突などの外傷が原因で発生します。また、タオルなどの柔らかいものでも、口で引っ張り合いをすると破折することがあります。
破折した歯は神経が露出することがあり、痛みや感染のリスクを伴います。特に、歯根部の近くまで達する深い破折の場合、重大な痛みや炎症を引き起こすことがあります。放置すると歯の周囲の組織や顎の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、破折が疑われる場合は速やかに獣医師の診断を受けることが重要です。一般的な動物病院では抜歯することが多く見られます。その他の適切な治療法として抜歯の他、当院では歯内治療(抜髄根管充填治療、生活歯髄切断術など)を行うことがあります。
治療例

これらの写真のように、割れる可能性が高い歯として、左右の上顎第四前臼歯(左写真)があります。その他、切歯(右写真)や犬歯も割れるケースが見られます。歯が割れた場合、これまでは抜歯する例が多く見られました。当院では抜歯をせずに、割れた面からの感染を防ぎ歯根部を残すことで、顎の強度をできるだけ保つことを目指します。
自分の歯で食べられることは動物にとってとても大切なことです。抜歯を避けることで、「咬む力」をできるだけ失わないようにしていきます。