人の歯科治療の知見を活かした
より精密な歯科治療

歯を抜く治療から
歯を残す治療へ

愛犬・愛猫のお口周りで
このような症状ありませんか?

  • 抜歯するしかないと言われたが、できるだけ抜歯をしたくない
  • かかりつけで治療ができない
  • 歯が折れた / 割れた
  • 歯や口を痛がる
  • 口や歯茎が腫れている
  • 歯や歯の周りから出血している

かえで動物病院では
一般的なスケーリング(歯石除去)のほかに、
極力歯を残す歯科治療をご提供しております

担当医紹介Specialist

獣医師 柳田洋の写真
獣医師

柳田 洋

麻布大学獣医学部卒業(獣医放射線学研究室)
都内動物病院、長野県保健所勤務を経て、2002年より大阪の動物メディカルセンターに10余年勤務。同病院勤務時に歯科医師に師事し、動物の歯科治療への応用を行う。
また、東京医科歯科大学大学院に在籍時は、歯を構成する成分であるハイドロキシアパタイトと細胞接着性に関する研究を行い、再生医療や材料工学、獣医学関係の諸学会にて発表、2010年に博士(歯学)の学位を授与される。
現在、日本小動物歯科研究会所属
同研究会における歯科講習会レベル1〜レベル4修了

担当医挨拶greeting

当院での動物の歯科治療は「歯を生涯使うにはどのように治療したらよいか」「歯を残すためにはどのような治療ができるのか」「動物特有の歯の環境からどのような治療ができるのか」といった観点も含めて治療を進めています。

動物は食性や生活習慣などが人と大きく異なるため、歯の形や機能だけでなく、歯にかかる力の大きさや向きが全く異なります。そのため、人の歯科治療を当てはめるだけでなく、動物種の特徴や歯の形態に応じた歯科治療が必要であると考えています。
歯石除去や歯内治療などの歯科処置後も、動物の生活習慣の見直しやデンタルケアなど、治療後の経過確認も大切です。

当院ではこれらを総合した歯科治療を目指しています。

抜歯をしない治療例Treatment example

破折治療

歯が部分的または完全に割れる状態を「破折」といいます。硬いものを噛んだり、落下・衝突などの外傷が原因で発生します。また、タオルなどの柔らかいものでも、口で引っ張り合いをすると破折することがあります。

破折した歯は神経が露出することがあり、痛みや感染のリスクを伴います。特に、歯根部の近くまで達する深い破折の場合、重大な痛みや炎症を引き起こすことがあります。放置すると歯の周囲の組織や顎の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、破折が疑われる場合は速やかに獣医師の診断を受けることが重要です。一般的な動物病院では抜歯することが多く見られます。その他の適切な治療法として抜歯の他、当院では歯内治療(抜髄根管充填治療、生活歯髄切断術など)を行うことがあります。

治療例

これらの写真のように、割れる可能性が高い歯として、左右の上顎第四前臼歯(左写真)があります。その他、切歯(右写真)や犬歯も割れるケースが見られます。歯が割れた場合、これまでは抜歯する例が多く見られました。当院では抜歯をせずに、割れた面からの感染を防ぎ歯根部を残すことで、顎の強度をできるだけ保つことを目指します。
自分の歯で食べられることは動物にとってとても大切なことです。抜歯を避けることで、「咬む力」をできるだけ失わないようにしていきます。

根管治療(歯内治療)

根管治療は破折や歯周病などで歯の神経が損傷を受けた場合に行われます。この治療では、まず損傷した歯の内部にアクセスし、感染した神経組織や病変を取り除きます。次に、歯の内部を消毒し、歯の中を充填材で埋めて密閉します。このように歯の構造を保ちつつ、さらなる感染のリスクを防ぐための治療を行います。このように、根管治療は複数の複雑な処置を一連の流れで行うことから「抜髄根管充填法」などと呼ばれることもあります。根管治療を行うことで抜歯を避け、歯を温存することが可能になります。
なお、歯の状態により、新鮮な歯髄をできるだけ温存するために、「生活歯髄切断法」という術式を行うこともあります。歯髄が一部残るため歯の新陳代謝が一定程度保たれるメリットがあります。しかし、感染に対して厳密に対処しなければならないため、口腔内の衛生状態を考えると、動物の場合、適用できる症例は限定的です。
いずれの治療後も定期的な診察や生活習慣の改善は必須で、治療した歯の健康状態を維持するために獣医師や愛玩動物看護師によるフォローアップが求められます。

治療例

破折の治療で欠かせないのが根管に対する治療(歯内治療)です。
神経や血管を抜いた後、適切な消毒を行います。さらに感染を防ぐため、歯科用の樹脂を詰めた後、歯科用レジンで被覆します(左写真)。また、治療後にエックス線撮影を行い、樹脂の充填具合など、歯の状態を確認します(右写真)。

専門機器のご紹介Specialized Equipment

  • 歯科ユニット

    歯科ユニットは、専門的な歯科治療に不可欠な装置です。高速ドリル、超音波スケーラー、水冷システム、吸引装置などを備えています。これにより、歯石除去、歯の切削、形成、排液の吸引などの処置が効率的かつ衛生的に行え、治療の質が向上します。

  • 歯科エックス線撮影

    歯と顎骨の状態を詳細に診断するために、歯科用レントゲンを使用します。この機器は機動性に優れ、様々な角度からレントゲンをとることができ、隠れた歯根部の状態を判断することができます。適切な治療計画を立てるために、必要な機材の一つといえます。

  • ライト付きサージカルルーペ

    心臓外科など、細かい技術の必要な手術ではサージカルルーペを使用します。歯科の治療も細かい処置が多く、精密な操作を行うときは、サージカルルーペを使います。これにより歯の小さな病変も確認しながら治療することができるため、治療の精度が高まります。当院では機動性の高い眼鏡型ルーペを使用します。
    ちなみに、失敗しない医療ドラマの手術シーンで使用されたものと同じモデルです。

  • ファイル

    歯の内部にある、感染・汚染した神経や血管(歯髄)を取り除く機材です。いわゆる「神経を抜く(抜髄)」という処置を行います。歯髄の太さに合わせたファイルを使用することで、内部の汚染された組織を取り除くことができます。

  • 充填剤(ポイント・セメント)

    充填剤は、抜髄後の歯の内部や切削した箇所に充填する材料です。抜髄した後の歯の内部を埋めることで感染の防止を行うため、重要な材料です。治療の目的に合わせ、歯の成分に近い材料(セメント)やゴム状の充填剤(ガッタパーチャポイント)、光硬化型樹脂(レジン)などを使い分けます。

  • (光照射器具&レジン)

    光硬化型のレジンを使用した場合や歯の表面を接着に適した状態にする場合、強い光を当てるため、光照射器具を使用します。
    これにより光硬化型の充填材や接着剤が迅速に硬化するため、治療時間が短縮されます。
    歯の頭の部分(歯冠部)の修復では、よく使われる機材です。

かえで動物病院の3つの特徴Features

歯内治療など高度な歯科治療にも対応

割れた歯(矢印)について、従来の歯を抜く治療だけでなく、歯を残す治療の選択もできます。

麻酔の安全対策を徹底

当院では、幼齢の子から、高齢の子まで、幅広い動物に対応しています。麻酔時の呼吸管理や温度管理、緊急時の投薬経路確保など、体調に応じて用意をしていきます。

生活習慣指導も合わせて実施

歯を割る直接の原因は、固いものを咬むだけではありません。柔らかいものであっても、引っ張ったりすることで割れることもあります。さらに、これらの行動を引き起こす原因を考えていくことで、歯を割る可能性をできるだけ減らしていきます。

歯周病治療Periodontal Therapy

下記に当てはまるものがあれば、
歯周病の可能性があります

  • 口が臭い
  • 歯肉が腫れている
  • 歯がぐらついている
  • 歯石がついている

歯科治療とは?

3歳以上の犬猫のうち、80%以上に歯周病があるといわれています。歯石や歯垢の蓄積は、口腔内の炎症や歯周病を引き起こし、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため当院で行う歯科処置は、全身麻酔下で歯の状態を確認し、表面だけでなく歯根部も含めた歯石除去や歯周部分に対する処置も行います。そのため無麻酔での「歯石取り」等とは全く異なる観点からの「治療」になります。ご家庭でのケアに加え、定期的な歯科検診を合わせることで、動物の健康的な生活にお役立てください。

軽症例

重症例

無麻酔歯科処置と
麻酔下歯科処置の違いDifference

無麻酔歯科処置

メリット
麻酔は使用しません。・・・当院では、無麻酔歯科処置は歯科処置としての目的が達成できないと考えております。また、処置後のデンタルケアに影響が出る可能性が高いことから、無麻酔歯科処置を積極的におすすめすることはできないと考えています。
デメリット
  • ・「歯周病治療の一環としての歯石除去」はできません。
  • ・「口腔内の正確な状況」も把握できません。
  • ・処置中に動物が動くなどして、歯や歯茎の損傷、骨折、また死亡例も報告されています。
  • ・無麻酔歯科処置後にデンタルケアを嫌がるなど性格の変化も報告されています。

麻酔下歯科処置

メリット
  • ・口腔内、歯の状態の詳細が把握できるため、適切な治療につながります。
  • ・歯の裏やスキマなどの歯石も除去可能です(歯周炎治療では、歯肉下の歯石除去が重要です)。
  • ・麻酔中、動物は歯科処置における痛みや不安を感じません。
デメリット
  • ・体の状態により、麻酔時の体調変化やリスクが生じることがあります。
  • ・麻酔リスクを極力減らすため、事前の検査や麻酔中の体調維持管理が必要です。
  • ・様々な治療が行える反面、費用は高くなります。

健康で充実した生涯を送るために、
麻酔下での歯科処置を推奨いたします。

その他の歯科治療Other Treatments

猫の難治性口内炎

猫の難治性口内炎は、猫の口内に慢性的な炎症が見られる病状です。原因は完全には解明されていませんが、免疫系の異常反応が関与していると考えられています。症状としては、口内の赤み、腫れ、潰瘍が見られ、食欲不振や流涎(よだれ)が伴うこともあります。治療は非常に困難で、抗炎症薬、免疫抑制剤、時には抜歯など、症状を緩和するための複数のアプローチが必要です。

治療例

口内炎の程度や、症状が日常生活へどの程度支障が出るかなどにより、内科的治療がよいのか、外科的(歯科的)治療がよいのか、検討したうえで治療を実施していきます。写真の例では、口腔内の免疫力をコントロールし炎症を軽減させる作用のあるインターベリーを使用した場合です。若干赤みが引いているのが分かります。症状の改善が思わしくない場合は、広範囲にわたり抜歯する場合もあります。

猫のネックリージョン(破歯細胞性吸収病変)

猫のネックリージョンは、歯の硬組織が徐々に破壊されていく病気で、割合多くの成猫に見られる歯科疾患です。この病変の正確な原因は不明ですが、歯根や歯冠の一部が徐々に溶解し、最終的には歯が機能を失います。症状としては歯の感染や痛みがあり、食事を噛む際に痛がることがあります。治療としては、影響を受けた歯の抜歯が一般的であり、進行を止める他の確実な方法は現在のところありません。犬でも見られることがあります。

治療例

吸収されている歯の程度や痛み、感染の状態などを考慮し、治療方法を決めていきます。
吸収が著しかったり、炎症や感染が考慮される場合などは抜歯をすることもあります。症状が軽度の場合は、口腔内の消毒や投薬等で経過を見る場合もあります。

吸収された歯の抜歯処置を行いました。

エックス線撮影をすることにより、歯の吸収が明らかとなったため抜歯処置を行いました。

シーラント処置

文献によりますが、歯垢1mg中には1億~10億個以上の細菌が生息しているといわれています。歯周炎の原因ともいわれる歯垢は、歯石に変化する前であれば歯磨きを丹念にすることで除去ことができます。しかし動物の場合は細かく歯垢を取り除くことが難しいのが現状です。そこで、当院では歯自体の隙間にあらかじめレジンを注入することで、歯の凹凸を埋め、汚れが入りにくくなるような処置を行っています。

治療例

人では齲蝕(虫歯)予防のため、特に小児歯科で行われています。動物の場合、汚れの入りやすい歯自体の隙間を埋めるようにすることが目的となります。
飼い主様の気になる歯について、1本単位で処置することができます。

内科治療や術後のケアもトータルで
サポートしております。 Support

内服薬や外用薬の使用

内服薬や外用薬の使用

歯の処置後は、状態が安定するまで内服薬や外用薬等を用いて、歯の炎症や痛みの再発を防いでいきます。

継続の歯科チェック

継続の歯科チェック

歯の処置をして終了ではなく、当院では術後の確認を適宜行っていきます。歯の検診だけでなく、デンタルケアや生活習慣の見直しが順調に進んでいるかも確認していきます。

インターベリーでの歯肉炎コントロール

インターベリーでの歯肉炎コントロール

歯肉炎を軽減するために、動物用医薬品として認可されているインターベリーを使用する場合もあります。この薬はインターフェロンを含み歯茎に塗る薬で、犬・猫に使えます。これまで歯肉炎を和らげるためにはステロイド薬などの使用が一般的でしたが、炎症を抑える治療方法の幅が広がりました。

治療の流れFlow

受付・問診

受付で問診を行います。今お困りのこと、治療中の病気など、時間を追ってお話しいただけると助かります。

身体検査

口の様子だけでなく、全身も確認していきます。歯や歯肉の状態、噛み合わせや歯のぐらつきなど、できるだけ確認していきます。

手術前検査

主に麻酔前の検査として、血液やエックス線検査、その他心電図など必要な検査を順次行います。

処置

処置はお預かりとなります。麻酔をかけて、歯を丁寧に処置していきます。

今後の治療計画のご説明

処置の結果を写真等を交えてご説明いたします。また、今後の治療の予定も併せてお話しします。

会計・次回予約

経過の確認は大切です。診察予定日のご予約をWEBよりお取りください。

費用感(主な歯科処置について)Cost Effectiveness

専門初診料 5,500円(税込)
術前検査 20,000円〜(目安)
麻酔料金
(吸入麻酔)
30,000円〜(目安)
麻酔料金
(注射麻酔)
4,000円〜(目安)
軽度歯周病
(歯石除去)
40,000円〜(目安)
中度歯周病
(歯石除去、口腔内消毒処置等)
60,000円〜(目安)
重度歯周病
(歯石除去、歯周部分の除菌処置、ルートプレーニング等)
80,000円〜(目安)
※病状や体調によって麻酔方法は異なります。
歯の破折
(抜歯 or 根管治療)
抜歯 40,000円〜(目安)
根管治療 100,000円〜(目安)
猫の口内炎
(内科的治療 or 抜歯処置)
抜歯 40,000円〜(目安)
全額抜歯 100,000円〜(目安)
内科的治療 15,000円〜(目安)
猫のネックリージョン
(抜歯処置)
抜歯 40,000円〜(目安)
全額抜歯 100,000円〜(目安)
シーラント処置 5,500円(税込)/本
乳歯抜歯 1,500円〜(目安)
歯科レントゲン 8,800円(税込)
※10枚以上は12,000円〜(目安)となります。
抜歯 犬歯 5,000円〜(目安)
それ以外の歯 1,500円〜(目安)
縫合 7,000円〜(目安)
根管治療
(歯根の本数による)
1歯根30,000円〜(目安)
局所麻酔 4,000円〜(目安)

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