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2024.7.18
【ウサギの不正咬合 完全ガイド】原因や症状、治療について獣医師が解説|三鷹市深大寺にある「かえで動物病院」

三鷹市、調布市や府中市、小金井市、西東京市、武蔵野市にお住まいの皆様、こんにちは。三鷹市の深大寺にある「かえで動物病院」院長の柳田です。

 

皆様、ウサギは人間と違い、歯が生涯伸び続けることをご存じですか?しかも門歯だけでなく臼歯も伸び続けるのです。

ウサギの食欲不振は歯の伸びすぎが原因となることもあります。

当院はウサギのご来院も多いのですが、そこで今回「ウサギの不正咬合」についてご説明いたします。

 

【不正咬合とは】

ウサギは前歯(門歯)、奥歯(臼歯)とも、生涯伸び続ける歯です。

門歯で葉をちぎり、臼歯で葉をすりつぶすことで歯が摩耗しますので、歯が生え続けるのです。

このバランスが崩れて、歯が伸びすぎ、舌や頬に傷ができることがあります。傷ができると口内炎が起こり、痛みや不快感が出るので、食欲が低下します。

また、顎の形など、噛み合わせの方向が良くないと摩耗不良を起こし、嚙み合わない部分は伸びるので、同じように舌や頬に傷ができやすくなります。

このように、本来よりも歯が伸びすぎた状態を不正咬合といい、ウサギの食欲不振の原因となっていることがあります。

 

【症状】

食欲不振、口の周りが汚れている(よだれが垂れている)、前歯が伸びている、食べ物の好みが変わる、などがあげられます。

 

【診断】

口の中をスコープで確認し、歯並びや歯の伸び方を診ます。同時に舌や頬に傷や潰瘍が無いかも調べていきます。

そのほか、食滞(胃腸に食物が過剰に溜まり、流れていかない状態)の除外や、その他の疾患の有無なども確認していきます。

 

【治療】

伸びすぎた歯を削っていき、適切な長さに調整すると同時に、舌や頬への当たりを減らしていきます。

①臼歯の場合

全身麻酔下で歯科用の砥石を使い、臼歯を削っていきます無麻酔での臼歯処置は、動物が急に口に力を入れるなどした場合、処置中に顎の骨が折れるなどの危険性を伴うため、当院では行っておりません。麻酔をかけることにより、舌や頬への当たりを確認したり、噛み合わせを確認したりしながら処置を進めることができますので、麻酔のリスクは考えなければいけませんが、メリットは大きいと思います。

②門歯の場合

当院では飼い主様のご了解が得られれば、麻酔をかけずに歯科切削用のニッパーで切ることもあります。しかし、門歯を切るときに歯が割れてしまうこともあるため、本来ならば歯科用のグラインダーで削るのが一番良いと思います。しかし、グラインダーで削る場合はその都度麻酔が必要となり、ウサギの体への負担が大きいため、歯科用のニッパーでの切除を希望される方が多いです。

③再発について

治療後も歯は伸び続けますので、牧草などを積極的に食べ、歯を使っていくことが再発防止には大切です。そのためペレットや柔らかい草しか食べない子は、再発しやすいと思われます。牧草をあまり食べない場合や歯の生える方向が適切な噛み合わせの方向ではない場合、定期的に歯を削る処置が必要となります。当院では、同じ子に年に数回、麻酔をかけ臼歯を削る処置を行った例もあります。

 

【普段の健康管理】

牧草を中心とした食事管理が必要です。大人になってからでは、新たに牧草を与えても食べないケースも聞かれることから、子ウサギのころから、牧草も含めて与えることが大切です。ご家庭では、普段の食事量を把握していただき、食べる量が少なくなったり、食事の好みが変わったりしたら、早めにご相談ください。

 

【まとめ】

ウサギの歯は生涯伸び続けます。摩耗バランスが崩れると不正咬合が発生し、食欲不振や口内炎を引き起こします。症状としては食欲低下、口周りの汚れ、前歯の過長などがあります。診断は口腔内をスコープで確認し、治療は全身麻酔下で歯を削ることが主です。特に臼歯は無麻酔での処置が危険なため麻酔が必要です。普段の健康管理として牧草を中心とした食事が重要で、定期的に歯の状態を確認することも大切です。

早期発見と適切な治療が病状の悪化防止に役立ちます。

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