
病院ブログ
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三鷹市、調布市、府中市、小金井市、西東京市、武蔵野市にお住まいの皆様、こんにちは。三鷹市の深大寺にある「かえで動物病院」院長の柳田です。
本記事では、狂犬病の基本情報、予防接種の必要性、そして当院での対応について詳しく解説いたします。愛犬と安心して暮らすために、ぜひ参考にしてください。当院では狂犬病ワクチン接種も随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
1:はじめに
狂犬病はこのブログ作成時点において、日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、全世界に分布しています。日本では1957年の猫の発生を最後に長年発生例はありませんが、海外ではいまだに多くの発生が報告されており、毎年5~6万人が感染により命を落としています。狂犬病は一度発症すると効果的な治療がなく、犬などの動物だけでなく人もほぼ100%死亡します。そのため、人の身近な存在である犬の予防の徹底が重要となっています。
2:狂犬病とは
狂犬病の主な感染経路はウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極めて稀ですが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症します。そのため、海外への渡航中は特にこれらの動物との接触は十分に注意が必要です。
感染した犬の症状としては、狂騒型と麻痺型と言われるタイプがあり、狂騒型では、極度に興奮し攻撃的な行動を示します。また、麻痺型では後半身から前半身に麻痺が拡がり、食物や水が飲み込めなくなります。
人の症状としては、強い不安感、一時的な錯乱、水を見ると首(頚部)の筋肉がけいれんする(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんする(恐風症)、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。
3:日本における狂犬病の現状
日本は1957年以降、狂犬病の発生がないため狂犬病清浄国とされています。これは、狂犬病予防法に基づく犬の登録や予防接種の義務化、野犬の管理、検疫体制の強化による成果だと思われます。しかし潜在的なリスクとして、海外からの動物の不適切な持ち込みや、渡航先で感染した人が帰国するケースが挙げられ、現に海外で感染し帰国した方が国内で発症し、亡くなられたケースもあります。また、野生動物との接触を通じた感染の可能性も完全には排除できません。狂犬病は致死率が非常に高いため、引き続き厳格な検疫措置や予防処置が重要です。
4:三鷹市の飼い主様に求められる対策
三鷹市では、飼い主様に犬の登録と毎年の狂犬病予防接種が義務付けられています。定期的に接種を行うことで狂犬病の発生リスクを抑えます。また散歩中はリードを必ず使用し、他の動物や人との不意の接触を避けることが重要です。排泄物の処理も徹底し、周囲への配慮を心掛けてください。さらに、野生動物との接触を避けることで感染リスクを減らすことができます。
5:狂犬病予防接種スケジュール
狂犬病予防接種は、毎年1回、お住いの市区町村の定めた時期にお受け下さい。その際、登録した市区町村からの接種案内の通知をご持参ください。また当院では、この期間にお受けできなかった場合の接種も随時受け付けております。
ご希望の方には注射済票の交付手続きの他、犬の登録関係の手続き代理を提携行政書士が承っております(有料)。
海外渡航をご希望の方は、複数回接種の上、ワクチン抗体価の測定が必要な場合がありますので、渡航予定がある方は早めにご相談ください。
6:かえで動物病院の取り組み
当院では、狂犬病予防接種を実施するときに動物の体調確認と合わせ、飼い主様に接種の重要性をご説明することがございます。また地域獣医師会活動を通じて、集合注射の実施を行い、予防接種率の向上を目指しています。接種に際しご不安な方は、健康診断と合わせてご相談くださいませ。
7:よくある質問(FAQ)
Q1: なぜ狂犬病予防接種が必要なのですか?
A1: 狂犬病は致死率100%の危険な感染症であるため、日本では予防接種が法律で義務付けられています。清浄国の維持に重要です。
Q2: 狂犬病はどのように感染しますか?
A2: 狂犬病ウイルスは、感染動物に咬まれた際の唾液から感染します。犬だけでなく、猫や野生動物も感染源になり得ます。
Q3: 犬を室内飼育している場合でも接種が必要ですか?
A3: 必要です。予期せぬ脱走や野生動物との接触の可能性があるため、予防接種を受けることが必要です。
Q4: 狂犬病が発生していないのに、なぜ対策が必要なのですか?
A5: 狂犬病の発生を防ぐための予防措置です。海外からの感染源が持ち込まれるリスクがあるため、清浄国維持には接種が不可欠です。
Q5: 接種の副反応が心配です。
A6: 一時的な発熱や倦怠感が見られる場合があります。また稀ですが、アレルギー反応が起こることがあります。接種当日に向け体調を維持し、接種後は安静にすることが必要です。不安があれば獣医師にご相談下さい。
Q6:高齢ですが、接種は必要ですか?
A7:狂犬病予防法には接種の免除規定がないため、単に高齢であることや病気に罹っていることは免除理由とはなりません。そのため、当院ではいわゆる「猶予証明」の発行はしておりません。法律上の規定については、お住いの自治体にお問い合わせください。
8:まとめ
狂犬病は致死率100%の感染症であり、日本が清浄国を維持しているのは、狂犬病予防接種や厳格な管理体制による成果です。しかし、海外からの感染リスクは依然として存在します。そのため飼い主様には、犬の登録や毎年の予防接種を確実に行っていただくのと同時に、普段散歩時のリード使用や排泄物の処理を徹底することで、他人や動物への安全が守られると考えられます。これらの取り組みが、お住いの地域全体の安全と狂犬病の防止、さらには動物を飼育している人の社会的地位向上につながると考えています。